違いを探す旅 第5回 ボルドー小旅行  

  


 


ワイン文明博物館

ボルドーを訪れるのは3度目だが、来るたびにこの街の発展に目を見張る。
6月1日に完成したばかりのワイン文明博物館は、この街の歴史、経済、文化に直結しているガロンヌ川沿いにあり、大きくアピールする建物だ。
カラフの中でゆれるワインを想像させる現代的な外観は、新しいランドマークとなっている。
日本語オーデイオガイドでワインの歴史を学び、大スクリーンで世界各地のワイン畑の映像を見るなど、ワイン愛好家でなくても楽しめる展示コーナーが豊富にある。
20ユーロの入場料には、8階展望コーナーでのグラスワイン1杯のサービスも含まれている。ここでは、ボルドーだけでなく数種のワインから好きなものを選べる。
日曜日にレストランを見つけるのは難しいと思ったら、ここの7階レストランでパノラマに広がる、ボルドー市街を眺めながら夕食を取るのも悪くないだろう。

       
 


 


限りなく1級に近い格付け第2級シャトー

ボルドーに来ると必ずシャトーを訪問する。シャトーは、日常を忘れる空間へ私を誘ってくれる。
今回訪問したシャトー・コス・デストゥルネルは、ポイヤックとの村境の北のコス地域に位置する。
東洋風の石造りの外観、中に入ると象の石像が至るところにあり、植民地時代の大邸宅に招かれたような気分になる。
が、何と言っても、圧巻の美しさは、貯蔵庫だ。ガラスの廊下の上から、まるで空中散歩のように眼下に敷き詰められた樽を見下
しがら横切る。
そして、その突き当りには、シャトーに保存されているすべてのワインが寝かされているカーブが待っている。視界に入るすべてが、ため息が出るほど美しい。
もちろん、最後に2種の赤をゆっくりと味わい。現在のオーナーが最近、製造を始めたシャンパンも味わうことができた。
創業者のエストゥルネル氏は、このシャトーのワイン発展に全精力をかけ、生涯独身で子孫もいなく、図らずしもメドックの格付けが始まった1855年のパリ万博の2年前に亡くなってしまう。
あと2年、彼の人生が長かったら、きっと格付け1級を獲得していたはずだと惜しまれている。

       
 


 


伝統と革新が共存するシャトーマルゴー

他の追随を許さないエレガントな味わい。ワインの女王と言われるシャトーマルゴーは、前述のパリ万博で20点満点中20点で第1級を獲得した。
このシャトーの特徴は、伝統と革新だ。
今でも専属の樽職人が、敷地内のこのアトリエで中央フランスから運ばれたオークを使って、丁寧に樽を作っている。また、昔と同じく樽を守るために栗の木を使って底上げしている。
一方、隣りの一角で新しいワイン造りを追及する開発するチームが、小さなイノックス樽で醸造するテスト製法にトライしていた。
右の写真は、昨年、完成したという新しいティスティングルーム。
削られた美の空間というか、禅室を彷彿させる。確かに、シャトーマルゴーの色、香り、味わいだけに全神経を集中させて、試飲するには、ふさわしい舞台だと言える。
そして、そこから、今後の研究のために全てのミレジウムを保存しているという別室へと続く。
ここは、まるで未来のシャトーマルゴーに繋がる廊下のようでありSF映画のワンシーンのような時間を超越する光りを放っていた。

写真クレジット:ペコン倫子(無断福複写、複製を禁じます)